Love Prince―18歳の初恋―【完】
「ごめんな、貞包」



俺が謝罪を口にすると、貞包は首を振ったまま、遠慮がちに抱き着いて来た。

前回より、抱き締め返す力が強くなったのは、罪悪感か、己の気持ちかがわからない。



「先生が…来てくれて良かった…」



弱々しい声は、俺の胸を締め付ける。

こいつを金持ちと知ってても知らなくても、二度と誘拐なんてされて欲しくない。

教師として。

人として。

何よりも、男として。



「先生、苦しっ…(笑)」



力を込め過ぎたのに、嬉しそうに笑う貞包を離して、俺は頭突きを喰らわせた。

…人の気持ちも知らねぇで。



< 94 / 440 >

この作品をシェア

pagetop