嘘偽りの愛しい体温
ううん…本心かもしれない
蓮也にしか
わからない気持ち…
「泣くな。面倒臭ぇ」
「泣いてなんて…ないよ…」
自分でも面倒臭い女だって思う
こんな筈じゃなかった
何があっても泣いたりしない強い女な筈だった
だけど…今は違う
強い女なんて無理…
「…此処で良いよ、後は自分で帰れるから」
「此処で降ろす訳に行かない」
「じゃあ、自分で降りる」
「…里桜!」
信号で停車した時、車から降りて歩道へと向かった
蓮也の名を呼ぶ声が聞こえる
「…っ……もう…やだ…ヒクッ…」
視界が滲む中、家に向かって足早に歩いた。