嘘偽りの愛しい体温
「戸締まり忘れるな」
「うん…わかってる」
「じゃあな」
「…ま、待って蓮也」
「どうした?」
「…今日…帰って来る?」
「何だ急に」
「な、なんとなく…」
蓮也は鋭い視線で私をじっと見つめる
本当は行かないでって言うつもりだった
だけどやっぱり…言えない
声が喉まで出かかってるのに、たった五文字が言えなくて
結局違う事を言ってしまった
「何時になるかはわからねぇが…帰るぞ」
「…そっか、わかった」
私は頷き蓮也を見送った。