嘘偽りの愛しい体温
『なんだぁ貴様!?』
「…男が一人の女に寄ってたかって何してやがる」
『お前は、電話の相手か?わざわざ出向いてくれたって事はお前も混ざりたいのかぁ?』
「…馬鹿かお前。その女から離れろ」
『あぁ?俺に指図するな。お前、何様だ?殺すぞこら』
男はベッドから立ち上がりナイフを握り締めたまま蓮也へと向かって歩く
や、やめて…
蓮也を傷付けないで…
「威勢だけは良い奴。やれるもんなら、やってみろ」
カチャっと甲高い何かを引っ掛ける様な音と共にナイフを握る男の動きが止まった。