嘘偽りの愛しい体温
「ねぇ蓮也。どうしたの?」
「何がだ?」
「何か上の空って感じだわ。仕事が忙しくて疲れてるとか?」
「…かもな。悪ぃな」
「ねぇ、だったら私が癒してあげる。蓮也の癒しになりたいな私」
奈々はソファーに座る俺の背後より抱き締めて来る
癒し等俺には必要ない
「癒し等必要ない」
「じゃあ快楽は?」
「悪ぃがそんな気分じゃねぇ」
抱き締める手を払うでも、抱き締め返すでもなくただ正面へと視線を向けた。