私の日本人彼女
彼女は窓側に座り、私が彼女の隣に座ることになった。
彼女はずっと外を見てる。このままでは話しかけつらいな。
なに?泣いてる?まちがってないようね。たしかに泣いてる。
大粒の涙が真っ白なほっぺたに沿って流れている。睡蓮の花びらが流した朝露のように透明で、きれい。
なんというカレンさだろう。私は思わず見とれてしまった。
しばらくして、私はハンカチを取り出し渡した。彼女は私を若干見て、手で軽く拒みながら「ありがとうございます。」言った。
これが私が彼女から聞いたはじめての言葉である。彼女はバックからピンク色のハンカチを取り出し、化粧を崩さないように、静かに涙をふいた。
北京と東京は非常に近い。あっという間に飛行機は着陸体制に入った。しかし、隣の彼女は2時間ずっと泣いている。
機内サービスもいらず、ひたすら泣いてる。何か意心地が悪い気もする。
飛行機が着陸し、私はさすがに心配になり「大丈夫?」と聞いた。
彼女は微かに笑顔を浮かびながら「うん、大丈夫です。」と言って、すぐに中国語で「シェシェ(謝謝)」と言った。
私は続いて話しかけた。
「北京は何しにいくのですか?」
「えっと、人民大学に留学にいくんです。実は半年行ってて今回は冬休みで一旦日本にもどったんですが・・・」
その後、我々は長い沈黙になった。降りる時、私は学会参加用の名刺を彼女に渡した。
しかし、彼女の連絡先は聞いていない。私はかなり地味だし、彼女が連絡したくなかったら、私が聞いても意味がないと思ったからだ。
そのあと、彼女の名前が高橋春菜ということを知った。
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