月の骨



 僕には日付の感覚がない。


 朝起きて、今日は日曜日だと気づく。

 僕はテレビも見ないし、カレンダーもめくっていない。今日が何月の何日で、何曜日なのか認識するすべは、極端に少ない。月を見れば、だいたいの季節と月齢はわかるけれど、残念ながら世間は太陽暦で動いている。


 ただ、日曜日だけはそれとなくわかる。

 近所に住む住人が、早朝からゴルフに出かけるからだ。

 閑静な住宅地の早朝は、車が少ない。

 新聞配達と牛乳配達のバイクが過ぎ去ると、6時半ごろまでほとんど車は通らない。休日ともなれば、なおさらだった。

 だから、日曜日の5時過ぎに出ていく車の存在は、僕にとっては日曜日を知らせる重要な情報で、そして僕は、それを見送ってから自分の家へと帰ることにする。


 今暮らしている部屋には、洗濯機がないからだ。





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