月の骨
歩きながら、僕は朔夜に仕事の成功を熱く語った。彼女は僕の話を黙って聞いてくれた。
当時、僕の仕事は、月面探査衛星の開発だった。お金も時間も足りなかったから、僕はプログラムだけではなく、機体そのものの製作にも携わった。
開発は成功し、あとは打ち上げを待つばかり、そういう時期だった。
朔夜は僕の話を自分のことのように喜んで聞いてくれ、そしてこう言った。
「私をいつか、月まで連れて行ってね。」
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