月の骨

 僕は警察を押しのけ、斎藤のもとへ向かった。

 彼の会社に乗り込んだのだ。斎藤のテリトリーに、自ら飛び込んだ。



 しかし。


 そこは、当時の僕なんかがどうにかできる世界ではなかった。


 一流の弁護士を携え、応接室の椅子にふんぞり返る斎藤に、僕は慄き、尻尾を丸めて逃げかえるしかなかった。



 斎藤は、圧倒的な力を持っていたのだ。


 多分、僕をでっち上げの内容で告発して社会的に抹殺することも、バラしてコンクリートに詰め込んで闇に葬ることも簡単に出来る。


 僕なんかでは、とても太刀打ちできなかった。






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