月の骨
「どういうことだ!!!説明しろよ!!!」
フロア中に、山城の怒鳴り声が響き渡った。
彼は迷うことなく僕の襟首を両手でつかみ、それから声を潜めた。
「どうしてプログラムを書き換えた?」
「知らない。」
僕は言った。
さっきからずっと続くやり取り。でも僕の答弁は明らかに嘘だ。
「嘘をつくな。お前以外に、誰が出来る?」
山城の言っていることは正しい。僕は、自分の担当していた仕事の、一番大事なプログラムを意図的に書き換えていた。
山城はそれに気付き、僕を激しく責め立てた。
「神の鉄鎚だ。」
僕は、絞り出すように言った。首が締り苦しかったが、山城が手を緩めることは無かった。