月の骨


 床に座り込んだまま見上げると、山城が荒い息をして僕の方を向いていた。


 彼がこんなに怒ったのは初めてかもしれない。頭の片隅で、そんなことを考えていた。


 計画は失敗だった。


 それもそうだ。杜撰すぎる。


 ロケットから分離した探査機を月面軌道に乗せず、斎藤の家に落下させる。


 そんなプログラム、山城なら簡単に見抜いてしまうことぐらいわかっていたはずだ。


 僕は失笑とともに立ち上がり、山城の前から去った。騒ぎを聞き付けた同僚達も集まっていたが、僕は全部無視した。




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