月の骨
僕が壊した携帯電話は会社用の電話で、山城はもう一台自分の携帯電話を持っていた。
それで、会社の若い研究員を呼び出し、僕を会社の研究室に連れていくように指示した。
彼は、これから本当の帰還に向けて忙しいと言った。
話たいことがたくさんあるから、後で行く。
だからちゃんと生きていろ、とも。
多分、彼は僕を告発するつもりなのだ。
そのことについて、僕も特に異論はない。
自分の行いは、世間から避難されて当然のこと。それくらいわかっている。