月の骨



 なるほど、僕は山城の猿芝居にまんまと引っ掛かったらしい。



「もう夜が明けるな。」


 洗いざらい話した山城は、両手を真上に伸ばし、背筋を伸ばした。


 その顔は、悔しいほど清々しい。


「さて、帰るか。」


「帰る?」


 山城の言葉に引っ掛かりを覚えて聞き返す。




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