月の骨
山城という男は、とにかく背が高い。
初対面で、こいつは成長期に重力を無視して育ったんじゃないかと思ったほどだった。
それほど、背が高かった。
それでいて、痩せすぎているということもなかったから、女にはよくモテていた。学生時代は剣道をやっていたとかで、姿勢もいいからぱりっとして見えたのだろう。所謂、好青年というやつだ。
山城とは仕事の同期で、よく飲みに行ったりもしていた。
家に招いたこともある。
体育会系で、熱血漢なところもあったから、酔っぱらうといつも熱弁をふるっていた。
時々、面倒くさい奴だとも思ったが、それでも仕事に対して真面目で、いい奴だった。
本当に、いい奴だった。