月の骨
テレビというものを、この一年ほどまったく見ていないことに気付いたのは山城からの電話がきっかけだった。
テレビどころか、新聞もラジオもこのところまったくだ。携帯電話も、充電がきれたまま部屋の隅でほこりを被っている。
そういうわけで、この一年で何が起きたのか──
──政権が交代したとか、プロ野球はどのチームが優勝しただとか、どこかの国で内紛が起きたとか、そういう一般常識的なニュースについて僕はまったく知らなかった。
というか、まったく興味がわかなかった。
だから山城からの電話で、僕は以前勤めていた職場のメインプロジェクトの成功を聞かされたわけだが、そのことに対して僕の興味は失われていた。