月の骨
相変わらず、彼は背が高かった。
でも、昔のような好青年ではなく、彼はくたびれた表情をしていた。目の下にはくっきりと隈が刻まれ、口元は無精髭に覆われていた。艶をなくした髪には白髪も目立っていた。
五年の歳月が、彼を変えていた。いや、変わったのはお互いさまだ。
「なんだ、だいぶ痩せて、老けこんだなぁ。」
山城は僕の顔を見て、力なく笑った。目尻に皺が寄っている。
「何しに来た?」
僕は言った。
「まさか、退職するときに殴ったのを謝りに来た、とかじゃないよな?」
僕なりの精一杯の冗談のつもりだったが、彼は殴ったことなんて見事に忘れていた。