月の骨
「また、呑みに行こうや。」
グラスを合わせてから二時間ほど経った頃、おもむろに、彼はそう言った。
彼のドリンクはビールから焼酎に代っていた。元来、酒の強くない僕は片仮名の並んだソフトドリンクに近い甘ったるいカクテルを飲んでいて、こういう店もまぁ悪くないと感じ始めていた時だった。
「それから。」
山城は、今まで休むことなく片手に持っていた焼酎グラスを離し、テーブルにとん、と置いた。
「…殴って悪かった、な。」
それは幾分呂律の回っていない謝罪の言葉だった。