月の骨



「…何のこと?」

 僕は言った。酒が入っていたから、そこに動揺は一切なかったはずだ。



「バァーカ。お前が辞める前だよ。

 グーで、思い切り殴り飛ばしてやったやつだよ。」



 やっぱり。

 一度、僕の冗談を忘れたと言って流したこいつは、やっぱりちゃんと、あの時のことを覚えていた。



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