月の骨
「私たちは、君とは違う。」
彼は言う。
「私たちは、娘のいないこの世界で、それでも何かすがるものが欲しいんだ。」
彼の言い分はわかる。
僕は、朔夜の遺骨を全て灰にして、散骨した。
朔夜の遺骨はもう僕のそばにはないし、墓も作らなかった。
遺影も、位牌もない。
それは全て僕の独断で行われ、その行為に対し、朔夜の両親は僕を責めた。
それで構わなかった。
朔夜の死はあまりにも突然で、あっけなく、僕の中では大きすぎた。