VALEN-TINE
だって、ひなたのことも、ましてや詩音くんのことも知ってる。
なのに諦めれないとかって、やっぱずうずうしいと思うから。
あたしの弱さはかなり大きいから。

「小山くん、呼んで?」

あたしはD組の加藤春海(かとうるみ)にはなしかけた。
彼女はすんなりとOKしてくれた。
他の女子にそういうこといったら変に疑われる。
これは春海にしかできない、頼みごと。

「遼貴――――――――――!!超ラブリーな女の子が呼んでらっしゃいますゎよ」

春海はわざと面白く言う。
小山くんはだるー・・という顔をしながらこっちにきた。
しかも人の顔も見ないで、俯きながら。

「誰ー?」

小山くんが問いかけた。
次の瞬間・・・

「うぎゃっ礼!なんで、なんで、なんでー!」

いきなり叫びだした小山くん。
さっき人に散々ひどいこといった小山くん。
散々かどうかはぱっとしないけど、とにかくひどい小山くん。

「ごめん、謝りにきた」

あたしが小さくつぶやくと、小山くんはいかにも軽蔑したような目をして、

「帰って?」

といった。ひどー・・ここまできたんですけど?

「引き返しませんから、ぜったぁぁぁぁぁ・・いにっ!!!」

強気な態度で構える。これがあたしの精一杯。
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