十五の石の物語
あれこれと見てまわるうちに、ある店の前に人だかりがしているのをみつけた。
そこには、こんな市場で売られるには不似合いな、とても見事なペルシャ絨毯が並べられていた。
中でも、一際目をひいたのは真っ赤な大輪の薔薇の模様を織り込んだもので、シルクのつやつやとした光沢がまるで本物の薔薇のように生き生きと見せている。
その絨毯は、ちょうど商談中のようだった。
いかにも金を持っていそうな身なりの太った男が、もう少しまけろと店主に詰め寄っている。
私は野次馬達を掻き分けて前に進み出た。
「その絨毯をいただこう。」
「何を?!この絨毯はおまえのような若僧に買えるような代物じゃないんだ!」
太った男は、眉間にシワを寄せ、私を睨みつけながら吐き捨てるように叫んだ。
「レヴ様だ。」
誰かがそう呟いたのを聞き、皆が一斉に私の方を見つめた。
太った男も私の正体に気付いたのか、一瞬顔をひきつらせた後、まわりの人々に八つあたりの悪態をつきながら去っていった。
「彼はもう買わないようだが、私にそれを譲っていただけるかな?」
「もちろんでございますとも!
では、すぐにお屋敷の方に…」
「いや、これは贈りものなのだ。
案内するから運んでもらいたい。」
「承知致しました。」
そこには、こんな市場で売られるには不似合いな、とても見事なペルシャ絨毯が並べられていた。
中でも、一際目をひいたのは真っ赤な大輪の薔薇の模様を織り込んだもので、シルクのつやつやとした光沢がまるで本物の薔薇のように生き生きと見せている。
その絨毯は、ちょうど商談中のようだった。
いかにも金を持っていそうな身なりの太った男が、もう少しまけろと店主に詰め寄っている。
私は野次馬達を掻き分けて前に進み出た。
「その絨毯をいただこう。」
「何を?!この絨毯はおまえのような若僧に買えるような代物じゃないんだ!」
太った男は、眉間にシワを寄せ、私を睨みつけながら吐き捨てるように叫んだ。
「レヴ様だ。」
誰かがそう呟いたのを聞き、皆が一斉に私の方を見つめた。
太った男も私の正体に気付いたのか、一瞬顔をひきつらせた後、まわりの人々に八つあたりの悪態をつきながら去っていった。
「彼はもう買わないようだが、私にそれを譲っていただけるかな?」
「もちろんでございますとも!
では、すぐにお屋敷の方に…」
「いや、これは贈りものなのだ。
案内するから運んでもらいたい。」
「承知致しました。」