十五の石の物語




何かとても良い匂いに誘われて私は目を覚ました。



(……ここは…?)

見知らぬ部屋の様子に私は一瞬とまどったが、すぐに昨夜のことを思い出した。



(そうだ。
ここはミカエルの家だ。)



「おはようございます。」

「おはよう!ぐっすり眠ってたな。洗面所はそっちだ。」

ふと時計を見上げると、もう十時をまわっていた。



(こんなに眠っていたのか……)

顔を洗いすっきりすると、急にサリーとヴェールのことが思い出された。
勝手にここへ来てしまった事で、きっと二人は心配しているだろう。


(早く戻らなければ…!)

そう思った矢先、ミカエルがせっせと食卓に料理を並べている姿が目に映った。



「朝食の準備が出来たよ。」

一刻も早く戻りたいのは山々だったが、せっかくのミカエルの好意を無にして帰るわけにはいかない。
私は朝食をいただくことに決めた。
ここまで来たら、朝食を食べずに戻った所でそう変わりはないと思えたからだ。



その時、ミカエルの家の扉を叩く音が聞こえた。



「……誰だろうな?」

ミカエルが玄関に向かい、しばらくすると、サリーとヴェールがミカエルと共に部屋に入ってきた。



「レヴ!!」

「レヴさん!」

「サリー、ヴェール……なぜここに?」



「あぁぁぁ~~っ!もうっ!
レヴの馬鹿!!」

サリーは、真っ赤な顔をして私を睨み付けていた。



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