十五の石の物語
「えっ?じゃあ、普通の料理も食べれるの?」

「実は昔は私も普通の食事をしていたのです。
本来の森の民はほとんど食べ物は採らず、野菜や果物のジュースを飲むだけだったそうですが、母はあの森に来てから身体がどんどん衰弱していったらしいのです。
父は、あの森に陽がささないことが原因だろうと言っていました。
そんな母の身を案じ、父は母に人間の食べるものを少しづつ与えていったそうです。
中には受け付けないものもあったようですが、そのおかげでそのうちに母もだいたいのものは食べれるようになったそうです。
私は小さい頃から普通に食べていたのですが、相次いで両親がなくなってからはまるで食べる気がなくなってしまったのです。
そして、そのうち特に食べなくとも生きていけるということがわかってからはなおのこと、食べるということに関心がなくなってしまったのです。」

「なんだ!そうだったんだ。
じゃ、これからはたくさん食べなきゃね!
あーーーっ!そうだ!
もしかしたらたくさん食べれば肌の色もかわってくるかもしれないよ!
あ~あ、こんなことならおじいちゃんの料理食べれば良かったのにぃ…
本当、もったいないよ! 」

相変わらずのサリーのまくしたてるような話し振りに呆れながらも、私も同じようなことを考えていた。
食生活がもたらす身体の変化は意外な程に大きい。
蛋白質を多く採れば、ヴェールの肌色が変わって来る可能性はあるかもしれない。
あの森を出て、陽に当たるようになっただけでもずいぶんと変わってきていることだし、時期に普通の人間と見分けが付かないようになるのではないか…と。
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