十五の石の物語
私はすっかり気分を壊したが、バッグの中からタオルを取り出し、それを石に乗せてからその上に座った。
さも、何事もなかったかのように……



「……だよねぇ…最初からそうすれば良かったんだよねぇ…」

サリーの言葉に私が不快感を感じていることを察したヴェールは、気を遣い、声をかけた。



「レヴさん!ミカエルさんからもらったあの青い石を見せていただけませんか?」

「あぁ……」

私がヴェールに手渡した青い石は太陽の光にさらされると、きらきらとまばゆく輝く。



「本当に綺麗な石ですね。なんていう石なんでしょうか?」

「おじいちゃんはたいした石じゃないだろうって言ってたよ。」

「そうでしょうか…?
私にはとても良い石に思えます。
たとえ、宝石的な価値のない石でもこんなに美しいのですから。」

「そうだな…宝石的な価値がすべてではない。
……むしろ、そんなものはどうでも良いことなのかもしれないな」

私達は順番に石を手にし、しばらくその青い石について話していたが、どうにもその場所は暑かった。



「そろそろ行こうか…」




私達が歩き出してほどなくして、小さな町の輪郭が目の前に広がった。



「あれが行商人の町なのかな?」

「違うと思いますよ。
地図によると行商人の町はこの町を越えた所のようです。」

「なんだ~、まだ先かぁ…
でも、近くならもう急ぐこともないね。
この町でごはんでも食べて休んでいく? 」

「……そうだな。」

小さな町とはいえ、それなりの店はあるようだった。
食べる所を探していると、町の中央あたりにひなびたカフェがあった。



「あそこにしようか? 」

「そうだな。あそこで良いだろう。」

通りを横切ろうとしていた時、私は二人に先に行ってくれと言い残し、一人、その場を離れた。


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