十五の石の物語
「……この石にはそんなに素晴らしい力があるのですか!
それでは、この石をペンダントにすることは出来ますか?」

「もちろん出来ますとも。カットはどんな風に?」

「このままが良いのです。ただ、首から下げられるように出来れば……」

「お護りなのね…
それならすぐに出来ますわよ。
そこでお待ちになる?」

「ええ、そうさせていただきます。」

女主人は手際良く石に小さな穴を開け、金具を付けてペンダントに加工してくれた。


「ありがとうございます。
以前より輝きがうんと増しましたね。」

「ただ少し磨いただけなのよ。
こんな見事な石、削るのはもったいないわね。
カットしなくて正解だわ。
うちの人が生きていたらきっと細工をしたがっただろうけど……」

「ご主人は亡くなられたのですか?」

「えぇ、昨年、急にね……
身体の具合も良くなりかけてて、これからは仕事も頑張るって言ってた矢先のことだったわ。」

「それはお気の毒に……」

「あんなことさえなければ…」

「……え?」

「いえ…なんでもないのよ…」

女主人は言葉を濁した。

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