十五の石の物語




「レヴ、遅い~!」

「すまなかったな。」

私は適当なものを注文すると、ヴェールに小さな箱を手渡した。
先程のペンダントの入ったものだ。



「何ですか?これは……」

私は何も答えず、ただにっこりと微笑んだ。



「何?何?ヴェール、早く開けてみなよ。」

「開けても良いのですか?」

私はゆっくりと頷く。



「これは!」

「あ!これ、おじいちゃんのくれたあの青い石!?
ペンダントになってるよ!」

「なぜ、これを私に?」

「この石はカイヤナイトという石らしく、とても良い石なのだそうだ。
君はこの石を気にいっていたようだし、この石の持つ力は君にとって必要なものだと思ったのだ」

「良かったね、ヴェール、早速かけてみなよ!」

「あ…」

サリーが素早くシルバーのチェーンをヴェールの首にかけた。



「ヴェール、よく似合ってるよ!」

サリーの言う通り、ペンダントはヴェールにとてもよく似合っていた。
カイヤナイトの青は、まるでヴェールが元々の主人だったかのように、彼の胸元でしっくりとなじんでいた。



「良いのですか?これはレヴさんがミカエルさんからいただかれたものなのに…」

「良いのだ。
この石もきっと君の方が好きなのだよ。」

「だよね!焼けた石でお尻をやけどするようなご主人様なんて、この石だっていやだよね!」

「やけどなどしてはいない!」

「ほら、すぐにそうやって真に受ける!
ジョークもわかんないようなご主人様はいやだって!」

機嫌を損ねる私に気を遣いながらも、ヴェールは胸元で輝くペンダントから目を離さなかった。
余程気に入ってくれたのだろうかと、こちらまでが嬉しい気持ちになった。
ふと見ると、ヴェールの瞳には、溢れそうな涙が溜まっていた。

< 121 / 414 >

この作品をシェア

pagetop