十五の石の物語
「レヴ、どうかした?」


「実は……」

私は困惑し、今までの経緯を皆に話して聞かせた。



「……そうか…アランの奴…
死んじまったのか…」

「じゃ、南の森のことを知ってる人はいなくなったってわけ?」

「南の森?」

そう問い返したクレマンの顔が、急に険しいものに変わった。



「おじいさん、何か知ってるの?」

「いや…俺は詳しい事は何も知らねぇ。
ただ……アランがおかしくなりだしたのは、そもそもその南の森が原因なんだ。
そこで奇妙な奴らに会ったとか、そいつらの護り石なんて物の話をし始めるようになってから、あいつはどんどん孤立していった。
アランがなんでそんな嘘を言ったのか俺にはわからねぇ。
もしかしたら、奴は頭の病気でも患ってたのかもしれないが、あまりに真剣に話すもんだから、皆、奴から遠ざかるようになってしまったのさ。」

「アランさんの話を信じる人はいらっしゃらなかったのですか?」

「そんな奴はいねぇよ。
なんせアランは誰にもその南の森の場所を教えなかったし、護り石以外は何もないんだからな。
そんな奇妙な奴らがいるなら会わせてほしいと言う奴が何人もいたんだが、アランは誰にも会わせなかった…
つまり、南の森なんてもんは元々ありもしねぇ幻だってことじゃねぇか。
あんたらもそんなものを探すのはやめた方が良いぜ。
宝石がほしいんなら、もっと良い奴を紹介してやるよ。」



嘘吐きだ…頭がおかしいんだと思われ孤立し、そして死んで行ったアランを想い、私はなんとも言えない気分で、クレマンと別れた。
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