十五の石の物語
「……やっぱり、あなたは嘘つきなんかじゃなかったのね…」

女主人が震える小さな声でそう呟く。



しばらくすると女主人はようやく落ち着きを取り戻し、にっこり微笑み「おなかがすいたわね。皆でランチでもいただきましょうよ。」……そう言って立ち上がった。



店に戻るまでの短い時間は、誰も何も話さなかった。
店に着くと、女主人は奥の部屋に私達を招き入れた。


「今、準備するから待っててね!」

「私も手伝うよ!」

サリー達が食事の準備をしている間、私とヴェールは長椅子に腰掛け、食事が出来上がるのを待っていた。



「しかし…思い切ったことをしたものだな。」

「そうですか?
でも、間違いではなかったでしょう?」

「それはそうだが…
……正直、驚いてしまったよ…
君らしくない…」

ヴェールはふふっとおかしそうに笑った。
ここ数日、彼は本当に良く笑うようになったと私は思った。



「……もうじき、森の民に会えるのですね」

「そうだな。
……もし、森の民に会えたら、君は…そこで暮らすつもりなのか?」

「それはまだわかりません。
彼らが私を受け入れてくれるかどうかすらわからないのですから…」

「そんな心配はないだろう。
君が望めば、彼らはきっと受け入れてくれると思うが…」

「……そうかもしれませんね…」



「レヴ、ヴェール、用意が出来たよ~!」

サリーに呼ばれ、私達は食卓に就いた。



「こんなに楽しいランチは久しぶりだわ…!」

女主人は瞳を輝かせながら、そう言って微笑んだ。
食事をしながら私達はいろいろなことを語り、笑った。
アランのこと、宝石店での毎日のこと、ヴェールの出会いのこと、ここへ戻ってきたいきさつ……やがて、テーブルの上のものもほとんど皆のおなかの中におさまり、話は本題に入った。
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