十五の石の物語
「心配しないで。
まだ続きがあるのよ。
南の森へは行商人の町からさらに十日程かかるらしいわ。
南の森の割と近くに良質の水晶が採れる鉱山があって、もとはというとアランはそこへ水晶の買い付けに行った時に偶然みつけたらしいのよ。」
「なるほど…では、その水晶の鉱山の近くを探せば良いわけなのですね。」
「それがそう簡単なことではないの…」
女主人がすまなさそうな顔をして、言葉を濁した。
「…どういうことです?」
「南の森へは満月の夜にしか行くことが出来ないそうなの。」
「なぜです?」
「満月の夜のある時間帯にだけ、光の途が出来るそうなの。
そこをたどっていけば南の森へいけるということなの…」
「光の途…?!」
「嘘みたいな話でしょう?
光の途だとか緑の髪を持つ種族だとか…私も正直最初は信じられなかったわ。
でも、あの人の真剣な瞳を見て嘘ではないと思ったわ…
ただ、それが真実かどうかはわからない。
あまりにも突拍子のない話ですもの…
でも、もしあの人が病気かなにかで幻を見ていたとしたら、それは嘘ではないわよね。
私はそう思っていたのよ。
でも、ヴェール……あなたのおかげでやっとあの人の言うことが病気ではなく真実だったと確信出来たわ…
本当にありがとう…感謝してるわ…」
「いえ。感謝しているのは私の方です。
あなたのおかげで私は自分の種族の者達と会えるかもしれないのですから。」
「きっと会えますとも…!
カイヤナイトが…あの人のカイヤナイトがあなたをきっと護ってくれるわ。」
「ありがとう、マダム…」
やっと、南の森への手掛かりがみつかった。
一度はもうだめかと諦めかけたが、今回の情報は核心に近付いている。
もう一度行商人の町へ行き、そこから水晶の鉱山を目指せば良いのだ。
後は「光の途」とやらが案内してくれるはずだ。
ここまで来たらもう急ぐこともない。
一歩一歩確実に進んで行けば良いのだ。
私達は女主人に手を振り、再び、行商人の町を目指して歩き始めた。
***
不思議な縁に導かれ、絡まった糸が少しずつほぐれていく。
明るい満月の力が織り成す光の途…
南の村は彼らを待っている……
6.夜光石〜fin
まだ続きがあるのよ。
南の森へは行商人の町からさらに十日程かかるらしいわ。
南の森の割と近くに良質の水晶が採れる鉱山があって、もとはというとアランはそこへ水晶の買い付けに行った時に偶然みつけたらしいのよ。」
「なるほど…では、その水晶の鉱山の近くを探せば良いわけなのですね。」
「それがそう簡単なことではないの…」
女主人がすまなさそうな顔をして、言葉を濁した。
「…どういうことです?」
「南の森へは満月の夜にしか行くことが出来ないそうなの。」
「なぜです?」
「満月の夜のある時間帯にだけ、光の途が出来るそうなの。
そこをたどっていけば南の森へいけるということなの…」
「光の途…?!」
「嘘みたいな話でしょう?
光の途だとか緑の髪を持つ種族だとか…私も正直最初は信じられなかったわ。
でも、あの人の真剣な瞳を見て嘘ではないと思ったわ…
ただ、それが真実かどうかはわからない。
あまりにも突拍子のない話ですもの…
でも、もしあの人が病気かなにかで幻を見ていたとしたら、それは嘘ではないわよね。
私はそう思っていたのよ。
でも、ヴェール……あなたのおかげでやっとあの人の言うことが病気ではなく真実だったと確信出来たわ…
本当にありがとう…感謝してるわ…」
「いえ。感謝しているのは私の方です。
あなたのおかげで私は自分の種族の者達と会えるかもしれないのですから。」
「きっと会えますとも…!
カイヤナイトが…あの人のカイヤナイトがあなたをきっと護ってくれるわ。」
「ありがとう、マダム…」
やっと、南の森への手掛かりがみつかった。
一度はもうだめかと諦めかけたが、今回の情報は核心に近付いている。
もう一度行商人の町へ行き、そこから水晶の鉱山を目指せば良いのだ。
後は「光の途」とやらが案内してくれるはずだ。
ここまで来たらもう急ぐこともない。
一歩一歩確実に進んで行けば良いのだ。
私達は女主人に手を振り、再び、行商人の町を目指して歩き始めた。
***
不思議な縁に導かれ、絡まった糸が少しずつほぐれていく。
明るい満月の力が織り成す光の途…
南の村は彼らを待っている……
6.夜光石〜fin