十五の石の物語




(こんなことなら、この指輪をはめてくるのではなかった。
いや、そもそも、あんな店に入るべきではなかったのだ。)



そんなことを考えても、今更何かが変わるわけではないことはよくわかっていた。
とはいえ、店の売り物を代金も払わずに帰ってきてしまったということは、酷く気持ちの良くないことだ。



私は立ち上がり、窓の外をぼんやりとみつめる。
月明かりを湿った雲が邪魔をして、私の好きな湖はあまりよく見えない。



(……仕方がない…)

私はようやく決意を固めた。



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