十五の石の物語
「今夜は満月かもしれないな…」

サリーの憎まれ口を無視して私はまるで独り言のように呟いた。



「夜になるまで少し休んでおこう。」

「まだこんな時間だよ。眠れやしないさ。」

「……それもそうだな。」


私達は、他愛ない話を続けながら、暗くなるまで時間を潰した。
あたりが暗くなるにつれ、不安と期待が心の中に大きく広がるのを感じた。
おそらく、それは私ばかりではないだろう。



「そろそろだね。」

「そうだ…これを。」

私はバッグの中から呼子を取り出すと、ヴェールとサリーに一つずつ手渡した。



「どこにどういう変化が現れるかわからない。
手分けをして探すことにしよう。
そして何事かを発見したらこの笛を吹いて合図するんだ。」

「わかった!」

私達は小屋の外へ出た。
空にはすでに美しい満月が浮かんでいた。



「じゃ、あたしはこっちに行くよ。」

「では、私はこちらへ。」

私達は美しい月を愛でるゆとりもなく、各方向へ歩き出した。

小さな変化をも見落とすまいと、私は目を凝らしあたりを見回す。
しかし、どこにも特に変わった所は見受けられない。
時間が経つにつれ、私は次第に焦りを感じるようになっていた。
もしかして自分が何か見逃してしまったのではないか…?
それとも、この場所ではないのか?
そもそも、アランの言うことがやはり真実ではなかったのではないか…?

不安と共に私の頭の中には、様々な疑問が沸き上がる。



やがて、少しずつ空高く上っていた月が真上に上がった時……
それはいきなり現れた…!



「あれは……!!」




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