十五の石の物語
「なんだよ！
ヴェールの裏切りモノ〜〜！ 」

そんな子供染みたことで笑いながら、私達は道なりに歩を進めた。



「家だ！！」

ついに、私達は森の民の住む町へたどり着いたのだ。

そこらには似たような形の家が何軒か建っている。
小さな集落なのだが、それにしてもやけに静かだ。



「では、行くぞ。」

私の言葉に二人は緊張した面持ちで頷き、一軒の家の扉を叩いた。



「こんにちは。」

声をかけ、何度叩いても中からの返事はない。
ためらいがちに手をかけたドアノブがカチャリと音を立て、扉が開いた。

中には誰かがいる気配はなかった。
家具には埃が積もっている。
もう長い間、ここには人が住んでない様子が覗えた。



「ここは空き家なんじゃない？」

「残念ながらそのようだな……他をあたろう。」

次に、私達は少しばかり離れた別の家を訪ね、同じように扉をノックする。
しかし、やはり返事はなく、扉を開けると、そこでもまた長年人が住んでいなかったことを感じさせられた。
私達は嫌な予感を胸に抱きながら、片っ端からドアを叩いて回る。

辛いことにその予感は的中した。

この集落には誰もいないのだ。



「これは一体どういうことだ……」

「……わかりません…」

ヴェールは力なく首を振る。
あたりに重苦しい空気が流れた。



「あ！あそこにもう一軒、家があるよ！」

集落から少し離れた場所にそこらに立ち並ぶ家とは明らかに違う大きめの屋敷があった。
そこもおそらくは無人だろうと思われたが、念の為、私達はその屋敷に行ってみることにした。
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