十五の石の物語
あーーっ!」

突然、サリーの大きな声が響き、私とヴェールの間に緊張が走った。



「サリー!どうしたんだ!」

返事のないことが、私達の心を余計不安にさせた。



「ヴェール、注意しろよ。確か、この……あっ!!」

「レヴさんっ!どう…あーっ!」



私は背中に衝撃を受けてよろめいた。
ぶつかってきたのはヴェールだった。



「……す、すみません。」

「ここは……」

あたりは私の背よりも高いブッシュに囲まれている。



「どうやら外の世界に戻ったみたいだよ。
ほら。」

サリーが指差したのは、ヴェールの後ろの光の途にあったあの空気の揺らめきのようなものだった。



「なるほど。
あの狭い通路の先にゆらめきがあり、そこに飛び込むとここへ出るということだな。」

「そうみたいだね。でも……ここ、どこなんだろう?」

「まずはこのブッシュを越えなくてはわからんな。
……しかし、光の途以外にも南の森へ続く途があったとは驚きだな。」

「あ、そうか。
このゆらゆらに入れば、さっきの細長い通路に戻って、南の森に入れるわけだね。
だけど、こんな場所じゃ、このゆらゆらをみつけることは滅多にないだろうね。 」

「みつかりやすい場所にあっては困るではないか。」

「そりゃそうだ。」



私達はブッシュをかきわけながら、先へ進んだ。



「あ〜、あたし、もう絶対さっきの場所がわからない。」

「大丈夫ですよ。」

ヴェールはそう答え、にっこりと微笑む。
森で生まれ育ったせいか、森の民の特別な能力なのか、ヴェールは一度行った場所を間違えることはまずなく、どんなに似たような所でもちゃんと見分けがつくのだと話した。
ヴェールがいる限り、この場所を見失うことはないだろうと私は安堵する。
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