十五の石の物語
ようやくブッシュを抜けた後、私達が目にした風景は、あの採掘場の近くとは違ったものだった。



「どうなってるんだろ?」

「おそらくあの近くだとは思うのだが……」

私達は、どちらに進めば良いのかわからず、ただ呆然とあたりの景色を眺めまわした。
これからどこへ行けば良いのかさえ、私達にはあてがないのだ。



「ヴェール…これからどうするつもりだ…?」

「どうする…ですか…」

「残念なことに森の民に会うことは出来なかったが…たとえば、あそこで皆が帰って来るのを待ってみるというのも悪くはない。
また、森の民を探しに行くという選択肢もある。
…あの場所ならば、君は世間の目を気にせずに安心に暮らせるとは思うが、どうするかは君の決めることだろう。」

「確かに、レヴさんのおっしゃる通りですね。
あそこにいれば、私は安全に暮らせるかもしれません。
しかし、それではあの暗い森にいるのと変わりがないのではないでしょうか?
ただ、明るいか暗いかだけのこと。
たった一人で何の希望もない毎日を送るのはもういやなのです。
私は…これからもあなた方を旅を続けながら森の民を探し出し、そしてまたあの南の森に帰ってきたいのです。」

「…そうか…」

その言葉を聞いて私は安心した。
そもそも、西の塔の魔女に言われた「十字架を探しなさい」という言葉に導かれて出会ったのがヴェールなのだ。
そのヴェールが南の森にとどまるといえば、今後、何を手掛りにすれば良いのかがまるでわからなくなってしまう。
しかし、だからといって無理にヴェールを連れ出すことも出来ない。
ヴェールの決断は、私にとっても幸いなものだったのだ。



「すぐに出発して良いのか?
出発といっても行く宛てが決まっているわけでもないのだし、引き返し、もう数日、南の森で過ごしてもかまわないが……」

「いえ……
引き返すことはありません。
母が生まれ育った家も十分見ましたし、キャストライトも手に入れました。
感傷に浸っているよりも、早く森の民を探し出したいのです。」

「わかった…では、そうしよう。」


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