十五の石の物語




それから、また何日かの時が流れた。
サリーは日一日と回復してきている。
旅立てる日ももうすぐだろう。

ここから、三日程歩いた所に小さな町があることをマリアから聞き込んだ。
まずはそこに行って、森の民の情報を聞いてみるしかないだろう。
前回のことで、情報が聞きこめる可能性はとても低いということはわかっているが、いつまでもここでのんびりしていくわけにもいかない。
川を舟で進めば早そうにも思えたが、肝心の舟がない。
やはり歩いていくしかなさそうだ。
三日位なら、病み上がりのサリーでも大丈夫だとは思うが、無理をしてまた何かあっては困る。
申し訳ない気持ちもあったが、念の為、もう少しこちらにお世話になることにした。

私には一つだけ気掛かりなことがあった。
それはヴェールのことだった。

おそらく…ヴェールはジネットに淡い恋心を抱いているに違いない。
そして、ジネットも同じ気持ちを抱いているようにも思える。
出来ることなら、もう少しこの地に滞在して二人の気持ちを確認したいものだが…



ヴェールにもそれとなく尋ねてみよう……私がそう思って彼に近付いた矢先のことだった。

ジネットとヴェールが仲良く畑で作物の世話をしている所へ、サリーが不意に声をかけた。



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