十五の石の物語
「これは…
この石は…私の使命なのです…」

「使命?…どういうことなの?」

「私はこの石をある方にお届けしなければならないのです。」

「ある方…とは…?」

マリアにはなかなか事情が飲みこめず、質問ばかりを繰り返す。



「それは……
先程も申した通り、森の長が亡くなり…
そしてそれからしばらくして、今度は鉱山に突然の異変が起きたのです。
今までほんの少し掘ればすぐにみつかっていたキャストライトもスタウロライトも嘘のようにみつからなくなってしまったのです。
これは、この地がおしまいだということを意味します。
……私達が新しい地へ移る時が来たのだと悟りました。
新しい土地には新しい長も必要になってきます。
私はこの石をその方に届け、そしてそのことをお伝えしなければならないのです。」

「…確か、この石は子供が産まれた時に両親が採りに行くって、あなた、さっき言ってたわよね…?
なぜすぐに渡されなかったの?
それに、次の長になる人は一体どこへ行ったというの?」

「……それには深い理由があるのです…
実は森の長のご息女は……森を出て行かれてしまったのです…」

「まぁ…一体、どうして?」

マリアの質問はなおも続いた。

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