十五の石の物語
それから私達はさらに森の奥地へ入ったが、周りの景色は少しも変わることなく、残念ながら目をひく物を何もみつけだすことが出来ないままに満月の日を迎えた。
私達はまた以前の時のように三方に分かれて辺りに注意をこらして捜索したが、結局、光の途らしきものはどこにも現れなかった。



「あ~あ…
やっぱりダメだったか……」

サリーは、大きな溜め息を吐く。



「残念です…やはり、ここではなかったのでしょうね…」

「予想はしていたことだ。また、別の……」

「あ、あれは…!?」

私が話し始めた時に、ヴェールが一点を指差し、声を上げた。



「……灯りだ…こんな所に人が住んでいるのか…?」

「行ってみる!?」

「そうだな。何か話を聞けるかもしれない。
行ってみよう。」



(……こんな山奥に一体誰が…?)



明かりの元には、小さな家が建っていた。
こんな所に住むのは、よほどの変わり者か、わけありの人物だろうと推測し、用心しながら扉を叩く。



「……どなたですか?」

中から返って来たのは、か細い女性の声だった。



「夜分に申し訳ありません……」

「こんばんは!旅の者です!」



(もしも女の一人暮らしだったら、警戒するだろ!
レヴは黙ってな!)

前に進み出たサリーが、私に耳打ちをした。



中の女性はためらっている様子で、なかなか扉は開かれなかった。




「こんな夜遅くにすみません。」

サリーはさらに声をかけ、私達が緊張して待つ中、ようやく扉が開かれた。



「あ、あなたは…!!」


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