十五の石の物語




フランツの家までは、宿でに聞いた通り、けっこう険しい道程だった。

(こんなことなら、杖でも持ってくるんだったわ…)

息をきらしながら歩き続け、ようやくジネットはフランツの小屋らしきものを発見した。
早速、声をかけるが中には誰もいない。
気が抜けた途端にジネットは激しい疲労感に襲われ、家の前に座って休んでいると、しばらくして一人の老人が現れた。



「あ、あの…もしかしたら、フランツさんでしょうか?」

「いかにも、わしはフランツじゃが、あんたは…?」

「私はジネットと申します。
実はヴェールさん達を探しているのですが…こちらにヴェールさんは……」

「あぁ、あんた、ヴェールさん達の友達かね?」

フランツのその返事で、ヴェール達がここに来たことを確信し、ジネットは胸を撫で下ろした。



(良かった。やはりヴェールさん達はここに来られてたんだわ。
早く次の行き先を聞かなくては!)



「……友達…というわけではないのですが…
ちょっとしたご縁で知り合いまして……」

「そうかい。
ま、とにかく中へ入んな。
ここまで来るのはきつかったじゃろ。」

フランツはジネットを食卓につかせると台所に入り、温かいお茶でもてなした。
お茶をすすりながら、気さくに話すフランツに、緊張していたジネットの気持ちも一気にほぐれだ。



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