十五の石の物語
「あの……ヴェールさんは今どこにいらっしゃるのでしょうか?」

「彼等はこの先の森へ行ったよ。」

「森へ?」

「あぁ、彼等は……」

フランツはそこではっと口をつぐんだ。
目の前にいるこの女性と彼等がどの程度親しいかわからない。
うかつに森の民のことを言って良いものかどうかと悩んだからだ。



「彼らは…なにか…探し物をしているようじゃったな。」

「探し物ですか?」

「あ、あぁ…なんかの調査だったかな…?」

「調査…ですか…?」



(やはり、この娘は彼等についてそんなに詳しくはないようだ。
どういう関係なのだろう?
悪い娘には見えないが…)



「あんた…彼等にどんな用があるんだね?」

「実は…私はある方を探しているのですが…
その方は今行方しれずでして…
どこをどう探せば良いのかさえわからないのです。
それで、厚かましい話ではありますが、ヴェールさん達の旅に同行させてもらえないかと思いまして…」

この娘の話は嘘ではない…
フランツは直感的にそう感じた。
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