十五の石の物語
男が一体どんな奴なのか、わからない。
一人だと言うとなんだか危険なような気がして、ジネットは用心のため、そんな風に答えた。



「そうなのか。
で、一体どこに行くつもりなんだ?」

「確かあの山に珍しい石の採れる場所があると思うのですが…私はそこへ行くところなのです。」

そう言った瞬間、男の表情が強ばったものに変わった。



「あんたも珍しい石を探してるのか?」

「いえ、私の連れの者が地質学の学者なのです。」

「地質学…?なるほど。そういうことか。」

「採掘場所のこと…ご存じなのですか?」

「どんな風に聞いて来たんだい?」

「教えてくれた人も詳しい場所はわからないようでしたが…なんでもそこはかなりの辺境の地で、偏屈な男が一人であるかどうかもわからない珍しい石を採掘しているのだとか…
…あ…!もしや、あなたが…」

話しながら、男の正体に気付いたジネットに、男は苦笑する。



「そうさ、俺がその偏屈な男さ。
名前もとっくに忘れられ、巷じゃ『ジェムストーン』って呼ばれてるようだ…」

「それは失礼しました!」

「そんなことはどうでも良いさ、それよりお仲間が先に行ってるんじゃ、急いだ方が良さそうだな。
じゃ、行こうか。」
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