十五の石の物語




「ここだ!」

ジネットはようやく採掘場に着いた。
ジェムストーンは中のランプに火を灯す。
入ってすぐの右手にはジェムストーンの部屋のようなものがあった。
部屋とはいっても、ベッドのようなものと、テーブル代わりに使われていると思われる木箱、そして作業台のようなものがあるだけで、部屋の片隅には様々な道具や衣類や食糧が無造作に積み上げられてあった。



「とりあえずそこに座ってくれ。
今、なんか食べるものを用意するからな。」

「いえ、食事の準備なら私が…」

「準備ったって缶詰と乾パンしかないんだけどな。
あ、そうだ!水がなかったんだ!
俺は今からちょっと水を汲んでくる。
湧き水はすぐ近くにあるんだ。
良かったら、表で火の準備でもしといてくれるかい?
すぐに戻るから。」

「わかりましたわ。」

ジネットは部屋にあった薪を表に運び、火を付けた。


揺らめく火を見ていると、なんとなく気持ちが落ち着いてくる。



(……ヴェールさん達はまだジェムストーンさんに会っていないようだけど…
私より先にでかけられたのにどうなってるのかしら…?
……まさか、どこかで迷って……)

そんなことを考えると、ジネットの胸に不安が広がった。



(……もしかしたら、高い崖から足でも滑らせて動けないのでは…
いえ、そんなことはないわ。
一人ではないのだもの。
……でも、誰かが落ちて大変なことになってるのかもしれない…
それが、もしヴェールさんだったら……)

ジネットの不安は妄想へと大きく姿を変えていく。



(……どうしよう…!?)



< 249 / 414 >

この作品をシェア

pagetop