十五の石の物語
「あんな石のせいで…」

ジェムストーンは、そう呟き、地面を拳で叩きつけた。
私はわけがわからず、ただ彼の様子を見守った。



「俺の親父は……あの石のせいで……」

「なにか…あったのですか…?」

「……俺の親父はあんな石を売り始めたせいで、まわりからは嘘吐き呼ばわりされて……」

ジェムストーンは、悔しそうに唇を噛み締める。



「森の民の護り石を…?
も、もしや、あなたはアランさんの……?」

「あんた、親父のことを知ってるのか?!」

「やはり、そうでしたか。
実はこの間、私達はあなたのお母上にお会いしていろいろとお世話になったのです。」

なんという縁だろう。
彼は、アランの息子だったのだ。



「なんだって?おふくろに…!?
そいつは奇遇なことだな!
俺はもうずいぶんと家には戻ってなくては。
おふくろは元気にしてたかい?
親父はどうしてた?」

「お母上はお元気でしたよ。
ですが……アランさんは…」

「……どうかしたのか?
親父に何かあったのか?」

ジェムストーンは私の表情から、父親の異変を察したようだった。



「……言いにくいことですが……アランさんは昨年、お亡くなりになられたそうです… 」

「お、親父が?!
そ、そんな、まさか…!」

「残念ながら…間違いありません。
詳しいことは存じませんが、急な病だったとかで……」

「……そ、そんな馬鹿な……
それじゃあ、俺は今まで一体何のために…」
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