十五の石の物語
やがて、私とアベルは三人に合流し、それからは皆でアベルの荷物整理を手伝った。
アベルはこの場所には数ヶ月程いたそうだが、その間にけっこう細々とした荷物が増えていた。
特に必要でないものは置いていくとしても、それなりの量があった。

それでなくとも、石は重い。
今までに彼が採った石の袋が荷物の中でも特に重かった。

暗くなると明日に備えて私達は早めに食事を採り、早めに休んだ。



そして、次の日の朝…



「離れるとなると、なんだか寂しくなるな…」

採掘場をみつめながら、アベルは切ない笑顔を浮かべた。



「こんな所に一人で住み着いて石ばっかり掘ってたら、本当の偏屈になる所だったよ。
これからはおふくろさんと仲良くやっていきなよ。
あんたなら、良い嫁さんもすぐにみつかりそうだよ。」

「本当かい。
そいつは楽しみだな。」

「では…そろそろ行きましょうか?」

大きな荷物を背負い、私達は山道を下っていった。
下りの方が足腰に負担がかかるというが、自分達が上ってきた道と比べると帰りの道はなんと楽なことかと、私はひとり苦笑した。



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