十五の石の物語
「こんにちは!
どなたかいらっしゃいませんか?
こちらは、シャルロさんのお店でしょうか?」

私が声をかけると扉の奥で物音がして、一人の体格の良い男が姿を現した。



「誰だい?
いかにもここはシャルロの店だが……」

「シャルロさんですか?
実は私は……」

「わかった、わかった。
それ以上何も言わなくても良い…
あんた…大変なことになっちまったな… 」

「あの…私は……」

「その石のことで相談に来たんだろう?」

シャルロは私のアマゾナイトの指輪を凝視しながら、そう言った。



「いえ……
私はこの石ではないある石と伝説についてお尋ねしたいことがあったのですが…
この石が何か…?」

シャルロはアマゾナイトの指輪をみつめながら、困惑したような顔をしてそのまま黙りこむ。
やがて、ブツブツと独り言を言ったかと思うと、私の方に向き直った。



「わかった!
なら、その話は今はやめておこう。
で、聞きたいことってのは何だね?」

そう言われると妙に気になったが、まずは肝心なことを聞いてから、その後でアマゾナイトのことを聞くことにしよう…
そう考え、私は話を始めた。



「シャルロさん、初めまして。
私はレヴと申す者です。
各地の伝承や石について研究をしております。
最近、アベルさんと知り合い、あなたがその道についてとてもお詳しいと聞き、お話を伺いにまいりました。」

「アベルの知り合いかね!
アベルともずいぶん会っちゃいないが、奴は元気にしてるかね?」

「ええ、お元気です。
つい昨日まで一緒だったのです。
今頃はお母上の所へ帰られている途中だと思います。」

「そうか〜…
あいつもついに落ち着く気になったか。
そいつは良かったな。
俺もあいつのことはいつも気にかかっててな。
良い報せをありがとうよ。
それで、あんたは何について知りたいんだね?」
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