十五の石の物語
「そうでしたか。
実は、彼等の住む村について知りたいのです。」

「……ってことは、彼らは南の村を移ったということだな?」

「その通りです。
今、彼等がどこにいるか知りたいのです。」

「俺にも彼等のことはよく見通せない。
だが、彼等の村は十字方向に四つあるんだ。
南の森にいないとしたら、その他の三方向のどこかにいるってことだな。」

「十字方向に…!?」

思いがけない情報を聞き、私の鼓動は興奮に速さを増した。



「そうさ、北極星を中心に彼等の村は十字方向に四箇所あるって話だ。
村に入るには満月の夜にだけ光る夜光石の光の途が案内してくれるのさ。
あれ?そんなことはもう知ってるって顔だな。」

「いえ、場所についてはまるでわからなかったのです。
ありがとうございました。本当に助かりました。」

「あんた、今、森の民と一緒にいるんだな…」

「えっ!」

シャルロの言葉に、私は酷く驚き、動揺を隠すことは出来なかった。



「いや…答えたくなけりゃ答えなくても構わないぜ。
それよりも…こんなことを言って良いのかどうかわからんが、あんた…
ずいぶんと厄介なものを背負いこんでるな…」

今まで快活に話していたシャルロの顔が、にわかに曇った。



「それはどういうことなのでしょうか…?」

「あんたのその石なんだがな……」

シャルロは、私の指輪をみつめながら、言いにくそうに口を開いた。
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