十五の石の物語




「わぁ~~っ!!海だぁ!!」

初めての海に、サリーは子供のようにはしゃぎまわる。
砂浜を走り出したサリーの後をヴェールとジネットがゆっくりと歩いていた。



「潮の香りって、こういうものだったんですね。
私も、海を見たのは初めてなんですよ。」

「私もです。
湖と似たようなものだと思っていたのですが…
ずいぶんと違うので驚いてます。」

「そうですわね。
海は湖とは音も匂いも空気もすべて違いますわね。」

「そう!
私が言いたかったのはまさにそれです。」

「ヴェール!ジネット!
こっちにおいでよ!」

波打ち際でサリーが、二人に手招きをした。



「海の水って確かしょっぱいんだよね?」

そういうとサリーは海水を両手で掬って口にした。



「うぇ~っ!
本当にしょっぱいや。
あんたらも飲んでみなよ。」

サリーの突拍子もない提案にヴェールとジネットは一瞬顔を見合わせたが、ヴェールが迷っている間にジネットは海水を掬って飲む。



「うっ!…本当にしょっぱい…」

「そうだろ!
こんなにしょっぱいなんて、海には一体どのくらいの塩が入ってるんだろうね!」

「きっと、山一つ分ではとても足りない位ですわ。」

サリーとジネットが顔を見合わせて笑っている。
その珍しい光景にヴェールも思わず顔を綻ばせた。



「ジネット、あっちに行ってみようよ!」

そういうとサリーとジネットは駆け出し、波打ち際で何かを拾い始めた。
< 269 / 414 >

この作品をシェア

pagetop