十五の石の物語
「あんた達、どこから来なすったのかね?」

後ろから不意に声をかけられ、ヴェールが振り向くと一人の老人が立っていた。



「あんたら、まるで海を初めて見たみたいだな。」

「その通りなんです。
実は、私達は海を見たのが初めてなのです。
それで、嬉しくてつい子供のようにはしゃいでしまって……」

「なんと!
こんな海が珍しいとはなぁ…」

「ヴェール~!
綺麗な貝、みつけたよ~!」

サリーが手を振りながら、ヴェールと老人の所に駆け戻った。



「ほ~ら!見てみて!
中に綺麗な模様が付いてるよ。」

「ほぅ~。こいつは珍しい!黒蝶貝じゃな!」

老人がサリーの貝を見て、口をはさんだ。



「黒蝶貝?」

「そうじゃ、黒蝶貝じゃ。
この貝が、あの美しい黒真珠を造るんじゃよ」

「この貝が真珠を?」

サリーは、まるで信じられないといった風に手元の貝をみつめた。



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