十五の石の物語
「……ありがとうございます。
しかし、今の所、私の身辺には不吉なことは何もありません。
以前にもあなたと同じようなことを言われたことがありますが、特に何事もなく過ごせています。
だからといって信じないわけではありませんが、得体の知れぬ恐怖に脅えて暮らしても仕方がないと思うのです。
今、私に出来るのは、森の民の村をみつけること…ですから、今はそれだけに専念しようと思います。
もしかすると、それにより何か転機があるかもしれません。」

「……そうだな…
そういうこともあるかもしれないな。
俺には残念ながら、今、あんたの力になれることは何もない。
だが、もしも、何事かがわかったら、すぐに連絡するぜ。」



私はシャルロに礼をのべると、もやもやした気分を抱いたままで店を出た。
森の民のことについては少なからず進展があった。
しかし、このアマゾナイトの指輪に関しては、ただ意味なく不安をかきたてられるようなことを言われただけで、相変わらず何もわからない…



(…一体なんだというのだ…!)

苛々した気持ちを押さえながら、私はカフェに向かった。
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