十五の石の物語




「レヴ、遅いよ~!」

「待たせたようだな。
すまなかったな…」

すぐにでも、今聞いてきた話をレヴやサリーに聞かせたかったが、ジネットがいる前ではそうもいかない。
私は平静を装い、他愛のない話をする。



「海は楽しかったか?」

「楽しかったよ!
今度は暑い季節に来たいね!
泳いでみたいよ!」

「サリーさんは泳げるのですね。」

「えっ?ヴェール、あんた、金槌なのかい?
情けないねぇ~!
来年になったら、あたしが泳ぎを教えてやるよ!」

「サリーさん、私にもお願いしますわ。
私も実は全然泳げないのです。」

「あぁ~…ジネットはなんだか泳げなさそうだね。
レヴも泳げないんだろ?」

「私は泳ぎはそれなりに得意だ。
屋敷の前に湖があるので、幼い頃からよく泳いでいたのでな。」

「へぇ~…
人間、なにか一つ位は取り柄があるもんなんだね。」

サリーの相変わらずの軽口も、それほど気にはならなかった。



「そうだな…
一つでも取り柄があって良かったものだ…」

「レヴ……どうかした?」

「いや…何もないが…?」

サリーは、私の顔をみつめ小首を傾げていた。
きっと、私がかっとしなかったことを不思議に思ったのだろう。
私は、シャルロに聞いた事で頭がいっぱいで、そんなことはどうでも良かっただけなのだが。



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