十五の石の物語




やがて、夜が明け、朝日が顔を出した……
私は前夜ほとんど眠ることが出来なかった。
近頃の私はというと、森の民のことにかかりっきりで、アマゾナイトの石のことは忘れかけていたのだが、昨日のシャルロの話でまた何かもやもやしたものが思い出されてしまってたのだ。
どれほど振り払おうと思ってもなかなか払えない程に……



「あれ~?
レヴ、昨夜は怖い夢でも見て眠れなかったのかい?
なんだか昨日からしけた顔してるね。」

「……そうか?」

「レヴさん、体調でも良くないのでは…?」

「いや…なんでもない。
食事をすませたら、このあたりのことを少し聞いてまわってみよう。」

「レヴさん、昨日は何か研究に関するお話は聞けたのですか?」

「ええ……このあたりの採掘場についての話が聞けたので、次に目指す場所に見当がつきました。」

もちろん、シャルロに聞いた話はジネットには言えない。
私は、ごく簡単にそうとだけ答えておいた。



「それは良かったですわ。」

「採掘場に入るとなると、また数日あなたを一人にしてしまうことになりますが、その間、あなたはあなたの情報収集に努めていて下さい。
近くに大きな町でもあれば良いのですが……」

「あ、あの…私も採掘場に連れていっていただけないでしょうか?」

「採掘場なんて行っても石ばっかりで何もないよ。
あんた、それより人探しをしなくて良いのかい?」

「……そうでしたわ…
おかしなことを言ってすみません。」

ジネットは、酷く沈んだ顔で俯いた。




彼女は本当に謎が多い。
探している相手のことも私達には何も話さないし、真剣に探している素振りもない。
しかも、急に私達についていきたいとは一体どういうことなのか?
まさか、私達のことを疑ってはいないと思うのだが、彼女の気持ちはどうにもよくわからない。
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